世にも奇妙な物語 Part3

 じつは私もひげのおじさん・やったん両氏とともに、かのトンネルへ行ってきた者の一人です。続きで書こうと思ったのですが、ひげのおじさんの報告でほぼ物語は尽きているので、これ以上書くことはなさそうです。ブログの方向性が違うと叱られそうですし。
 ただ鶏肉サイドとしては、先の両氏の補足程度に3点ほど言わせて頂きたい。
 まず第一に、ひげのおじさんが割愛した様々なトラブルのほうが、私にはよっぽど恐怖体験だったこと。(たぶん、このことは語られず闇に葬られることでしょう。)
 第二に、ひげのおじさんが指摘していた、車のライトを消して高笑いしているのはやったん氏のはずだが、隣の助手席に乗っていた私には氏が笑っていたという記憶がないこと。(でも、ひげのおじさんは確かに笑い声を聞いたという…)
 そして最後に、われわれ鶏肉たちは車内より愛を込めて、先行するひげのおじさんがトンネルを抜けた途端、忽然と姿を消したらどうしようと半ば心配していたのである。
 トンネルの向こう側の世界で、ご馳走を食べすぎて豚になっていたらどうしよう…。龍に姿を変える少年や頭部が異常にでかいお婆さん、「あ」しか言わない影の様な生物たちと出会い、自分の名前を忘れないように気をつけながら、風呂屋で働きつつ成長していくはめになるのだろうか…? ちょっと考えただけでも、経営者である頭部が異常にでかいお婆さんの、あのしごきと搾取にはとても耐えられそうもない!…逃げるか。このまま車をバックさせて引き返そうか?
 いや待て待て。豚にされたひげのおじさんはどうなるのだ? 彼には、西川きよし並みに子供が三人おりますねんで、ヘレンさんばりの山の神を抱えているんだぞ。何が何でも人間に戻ってもらわないといけない、こちらの世界に戻って来てもらわないといけないのだ。この命にかえても、すべすべの豚肌にひげだけは(できれば長髪も)生やさせないといけない…! あ。あと、メガネも欠かせない!
 と、ひとり不退転の決意をしたものでした。(つづく)
      下呂戦記